80年代初頭。デカン高原中央部。
鉄鉱石で沸き立つ近隣都市のはずれにそこは在った。
始めはその硬さから、加工に適さないと敬遠されていましたが、
切削機械の発達等により、その硬さ、吸水率の低さが生かせるようになると
爆発的に輸出されるようになり、小高い丘だった地形があっという間に、
周囲2km四方の丁場群となり、
最盛期には20丁場を越える無数の丁場群が形成されました。
(2016年6月現在で8丁場稼動中)
目合いは一見人を寄せつけない荒々しい粒子を見せますが、
深みのある蒼い地色が見る者を引きつけ、
その強靭性(硬さ、低吸水性)で長く美しさを保ちます。
幾年もの歴史から築いた絶対的地位と抜群の安定感は他者を寄せつけません。
このアーバングレー伝説はその強靭性の証明として人々に語り継がれる事でしょう。
我々の一番身近な存在として
愛され続けるこの石を、これからも育んでいければ幸いです。
エピソード:切削機械
硬い石を切削する切削機械。その鋸の部分ブレード先端にはダイヤモンドチップが接着されています。
各々の石には違った強度があり、それを切削するブレードの方にも違った設定がなされています。
簡単に言ってしまえば、ブレード先端部のダイヤモンドチップの密度及び接着強度の違いですが、
合っていない物を使用していると、ダイヤモンドチップが剥がれ落ち、すぐに切れなくなったりする大事な部分です。
石種データ | ||||
素材 | 色目 | 圧縮強度(N/mm2) | 見掛比重(t/m3) | 吸水率(%) |
御影石 | グレー系 中目 | 118.58 | 2.632 | 0.056 |
洋墓デザイン例 JSCオリジナル・スピカ
和型デザイン例 坊主墓
インド材の歴史と共に発展してきた、万能にして有能なインドグレー御影「アーバングレー」
始まりの頃から日本向けに出荷され
和墓・洋墓・外柵・記念碑と、使う場所を選ばず各地で用いられてきました。
主役を張れることはもちろん、脇役としても名演技を見せる事ができます。
建材としてはその硬さゆえ敬遠されたのか使用は少ないですが、
霊園に行けば必ず見かける、数多の人々に終の棲家を提供してきた銘石中の銘石です。
アーバングレー丁場位置
India-丁場-アーバン Amar 201510
India-丁場-アーバン APG-1 201510